TMASCコンサルティング
English ご相談の申込み

TMASC地域

テキサス州とメキシコ4州を貫く、一本の回廊。


テキサス・メキシコ自動車スーパークラスター(TMASC)は、 二国間にまたがる製造業の集積地であり、それを説明する戦略的枠組みです。ダラス・フォートワースから I-35/MX-85/MX-57回廊に沿って南下し、オースティン、サンアントニオ、ラレドを経て、 ヌエボ・レオン、コアウイラ、タマウリパス、サンルイスポトシの各州に至ります。

本ページの内容はすべて、ベア郡が委託した2024年TMASC調査、およびその基礎となる公開データに 基づいています。当地域が低い評価を受けている分野も含めて掲載しています。強みだけを見て下した 立地判断は、後に見直しを迫られるためです。

用語についての確認

TMASCは助成制度でも、インセンティブ・パッケージでも、加入する仕組みでもありません。 申請する先はなく、そこから資金を受け取ることもできません。2008年、2012年、2024年にベア郡が委託した 調査で記述された、産業集積地の呼称です。

製造業が実際に活用するのは、集積そのものです。 サプライヤーの密度、国境通過所、電力・水などのインフラ、そして関係機関——およびそれらを 使いこなす力です。

インタラクティブ(1/3)

州別に見る回廊

州を選ぶと、サプライヤー基盤、雇用の伸び、 自動車産業への依存度が表示されます。

サプライヤーの規模構成

5州で311のサプライヤー工場が確認されています。 州ごとの差が最も大きいのは規模構成です。テキサス州は中小規模のサプライヤーを、 コアウイラ州・ヌエボ・レオン州・タマウリパス州は大規模拠点を担っています。

生産の移動

乗用車は上昇、大型商用車は低下。


乗用車

当地域は10年で北米シェアを4.0ポイント伸ばしました。全地域で最大の伸びです。 同期間にカナダは7.5ポイント失っています。

調査後の動き(2026年7月)

トヨタはサンアントニオ工場に36億ドルを投じて第2組立ラインを新設し、 タコマの生産を約4年かけてバハ・カリフォルニアから移管すると発表しました。本調査はバハ・カリフォルニアを 太平洋岸地域に含めているため、これは太平洋岸地域からTMASC地域への生産移管にあたります。

大型商用車

対照的な動きであり、先の図と並べて示されることはほとんどありません。 当地域は大型商用車シェアを2.5ポイント失い、中西部は4.1ポイント伸ばしました。 シェアでは依然2位ですが、方向は当地域に不利です。

人材

雇用は国境の両側で増加しました。


この10年で、域内の自動車製造業にはおよそ17万人分の新規雇用が生まれ、 伸び率は国境の両側で全国平均を上回りました。テキサス州は3.1万人から4.7万人へ、 メキシコ側は24.3万人から40.0万人へ増加しています。ただしメキシコ側は 2019年の水準をまだ回復していません。

テキサス州内では構成が変化しました。ダラスは州内雇用の45%を占め最大の拠点であり続けていますが、 サンアントニオの比率は15%から25%へ上昇しています。メキシコ側ではコアウイラ州が44%で最大です。

コスト

産出額1ドルあたりの人件費。


同調査は、2022年の州別に、人件費を産業の産出額で割った比率を示しています。テキサス州は、競合する中西部・南部の各州を大きく下回ります。これは賃金の安さではなく、生産性の高さによるものです。メキシコの極めて低い値は、統計の基準が異なることと賃金水準の差を反映しており、生産性を示すものではありません。

一つの順位表として読むと誤解を招きます。テキサス州は生産性で、北東メキシコは人件費で競争しています。当地域の強みは、その両方を一つのサプライチェーンの中に持てることです。

産出額1ドルあたりの人件費(比率、2022年)
州・国比率
メキシコ0.01
テキサス州0.32
ミシガン州0.48
ウィスコンシン州0.50
テネシー州0.54

出典:Macro Foresight「TMASC報告書」(2024年3月、ベア郡公表)p.24。データ:2022年。日本語版はこちら。

電池

電池セルの供給能力の不足。


北米の電池セル生産能力は、2021年時点で年間約55GWhでした。2030年に向けて公表済みの計画を合計すると約1,000GWhに達します。2040年に2,340万台の市場の80%がEVになると想定すると、必要なセルは年間約1,653GWhとなり、公表済みの工場がすべて完成しても約653GWh不足します。

EV比率がおよそ50%を超えると、公表済みの能力では足りなくなります。セル工場の立地は、優遇措置ではなく、電力・水・大規模な用地で決まります。この不足が当地域にとって重要なのはそのためです。

北米の電池セル(GWh/年)
項目GWh
生産能力、2021年(EV約60万台分)55
公表済みの生産能力、2030年約1,000
需要、2040年、EV比率80%(EV1,870万台)1,653
2040年の不足(公表済みがすべて完成した場合)約653

出典:Macro Foresight「TMASC報告書」(2024年3月、ベア郡公表)p.40。データ:2021年(2040年までの予測を含む)。日本語版はこちら。

同報告書は電池容量を1台あたり77〜100kWhと想定しています。平均88kWhは、この想定から当社が算出した値です。

誘致

当地域が誘致しうる五つの投資類型。


投資額の小さい順に並べています。投資額の小さい類型ほど、当地域の弱点(用地・電力・人材)への依存が小さく、大きい類型ほど依存が大きくなります。誘致の優先順位は、発表規模の大きさではなく、インフラへの依存度で決めるべきです。

投資類型投資額雇用用地・電力・人材への依存度
本社機能2,000万〜1億ドル100〜500人低。当地域で最も不足している高度人材の職を生みます
ソフトウェア・研究開発拠点3,000万〜8,000万ドル50〜600人低。バリューチェーンを上がる最も安価な手段です
EV組立1億〜5億ドル300〜1,300人中。トラック輸送圏内にセル供給の目処がある場合に限り競争力があります
中・大型トラック2億〜5億ドル100〜800人中。当地域を通る貨物量そのものが需要の根拠です
電池セル工場20億〜70億ドル2,000〜2,500人高。電力・水・約100ヘクタール以上の用地が前提となります

出典:Macro Foresight「TMASC報告書」(2024年3月、ベア郡公表)p.63。データ:2023年。日本語版はこちら。

依存度の評価は当社によるものです。

インタラクティブ(2/3)

当地域は、あらゆる投資に等しく適しているわけではありません。


2024年の調査では、5種類の投資について、 同規模の競合4地域との比較評価が行われました。投資の種類を選ぶと、当地域の実際の評価と、 その投資判断で重視される基準が表示されます。

インタラクティブ(3/3)— 特にご確認ください

当地域に不足しているもの。


2024年の調査は三つの課題を挙げています。私は初回の面談でこれらを必ずお伝えします。 いずれも解決に数年単位を要し、いずれも案件を後工程で、かつ高い代償を伴って頓挫させうるためです。

大規模用地の不足

セル工場や新規の組立ラインには、数百エーカー規模で、かつ敷地境界まで インフラが引き込まれた整備済用地が必要です。即時着工可能な大規模用地の整備は、 当地域にとって「効果は大きいが難易度も高い案件」と位置づけられています。 重要でありながら未解決である、という意味です。

人材の技能水準

この10年で生産は増加しましたが、テキサス州の自動車製造業における高技能職の比率は 13.1%から10.7%に低下しました(2012〜2022年)。コンピューター・数理系の職は4,000人から9,800人に増え、 同調査は2040年に約50,300人(約4万人の増加)と予測しています。理工系卒業者数も人口当たりで全国平均を下回ります。これは採用の問題ではなく 卒業者供給の問題であり、解決には5年ではなく15年に近い期間を要します。

電力系統の安定性

発電容量と系統の利用可能性は、いずれも投資が必要な領域として挙げられています。 電力多消費型の工場にとって、安定電力はデューデリジェンスで最初に問われる事項であり、 他の条件が良好な候補地を失格させる可能性が最も高い要因でもあります。

出典:Macro Foresight「TMASC報告書」(2024年3月、ベア郡公表。日本語版)。同調査は、本社移転、EV製造、電池工場、 中・大型トラック製造、ソフトウェア研究開発拠点を、当地域の優先投資類型として挙げています。

ご相談

ご検討中の候補地を、このデータで検証します。

上のスコアカードは地域単位の評価です。実際の判断は、個別の変電所、国境の通関地点、サプライヤーの単位で行われます。ご検討中の用地・地域をお知らせいただければ、このデータが役立つ点と限界をご説明します。